転職先を決める前に確認するべきポイント | 二兎を追うUターン転職

転職先を決める前に確認するべきポイント

篠宮です。理想的な転職先が見つかって一安心、あとは入社するだけ…と、ちょっと待ってください。求人要項の「仕事内容」に細かくいろいろ書かれている「年休」や「待遇」までしっかり目を通して意味を理解しましたか?

実はここをしっかり確認しておかないと、入社してから「想像と違った」となりかねない場合があります。特に、制度の整った大企業からより規模の小さい会社への転職だと思わぬ落とし穴があることも…。

実際、人事部門に携わっている私ですら、東京の大手企業から地方の会社へ転職したあとで、「ここは確認しておけばよかった!」と思ったことも少なからずあります。

今回はそんな私の実体験も交えつつ、転職活動を進めている途中や内定承諾前に確認しておくべき内容をまとめました。この記事を読めば、後悔しない転職活動をする事ができると思いますのでぜひチェックしてくださいね。

求人票のどこを見ればいいのか

多くの場合、求人票の記載項目は以下の順番で並んでいると思います。

  1. 企業名
  2. 仕事内容
  3. 必要スキル
  4. 給与
  5. 勤務地
  6. 勤務時間
  7. 待遇・福利厚生
  8. 休日・休暇

今回注目してもらいたいのは6~8番。ちなみに上表は飽くまで一例なので、転職エージェントや募集企業によって項目や順番は前後すると思いますが、内容で判断してもらえればOKです。

確認しておくべき会社制度

勤務時間

勤務時間の一例
09:00~17:45
所定労働時間 8時間00分
休憩 45分
フレックスタイム制 無
残業 有 平均 20h/月

上のようなパターンが日本企業では一番スタンダードではないでしょうか。

所定労働時間・休憩

まず所定労働時間については労働基準法上、一日8時間を超えてはならないと定められているのでこれを超えることはありません。また休憩についても、8時間以内の労働時間については45分が法律上の定めになっているので45分にしている会社が多いのではないでしょうか。

その観点からすると、所定労働時間が7時間45分だったり休憩が60分だったりするのは最低基準を上回っているので「良い会社」と言えます。(個人的には休憩は45分でいいです。休憩するくらいなら早く帰りたいです)

残業時間

勤務時間に関して一番ポイントになるのは、残業ではないでしょうか。上の例だと、平均20h/月というところですね。この「平均時間」というのがクセモノで、額面通りに受け取らないほうがいいです。

今の会社で残業が多いと感じている人は、自社が中途採用をやっているか検索してみてください。もしヒットすれば平均残業時間の項目を確認してみてほしいと思います。そんなわけないだろ、という数字になっているのではないでしょうか。

それもそのはずで、ここでいう平均時間は普通全社平均になっているので、自職場がどんなに忙しくても他部門に毎日定時で帰るような人がいればその分だけ平均も押し下げられるのです。そもそも現状の人員で足りないから中途採用をしているはずであり、配属先部署と全社平均は乖離するほうが自然と言えます。

なのでもし可能であれば全社平均ではなく配属される部署の平均残業時間を訊いてみてください。(あまりしつこく訊くと就業意欲を疑われるので注意は必要です)

待遇・福利厚生

勤務時間の一例
社会保険完備、通勤手当、扶養手当、住宅手当、寮・社宅、退職金、貯蓄制度/財形貯蓄制度、団体貯蓄保険、従業員持株会、確定拠出型年金(DC)、慶弔見舞金制度、各種損害保険、カフェテリアプラン

上の例は、日本を代表するグローバル企業の求人内容を一部修正したものです(考えうるあらゆる福利厚生メニューがてんこ盛りになっていたので削りました)。上を見ればきりがないですが、ここでは最低限抑えるべきポイントに絞って紹介します。

確定拠出年金(DC)制度が導入されているか

転職するなら絶対に見ておいたほうがいいのが、確定拠出年金(以下DC)です。細かい解説はまた改めてしますが、今の会社に同様の制度があって加入している場合は、積み立てた額をそのまま引き継げる、DC導入済みの会社を選ぶことを強くおすすめします。

そうでない人にもDCは資産形成を協力に後押しする国策なので、公的年金が崩壊目前の今、使わない手はありません。個人型DCでも同じことはできますが、企業がそれを支援してくれる企業型DCのメリットは非常に大きいです。

少し脱線しますが、一度転職を経験した人は「会社を変える」ことに対するハードルが異様に下がります。通常の退職金は勤続年数が短いと極端に支給率が抑えられていることが多いので、短期で転職を繰り返すと丸損しますが、DCの場合はどれだけ短期でどんな理由で退職しようがそれまでの勤続期間に応じた金額はまるごと次の会社に持ち出せるので、転職を繰り返したとしても損をすることはありません。

MEMO
退職金の給付率
退職理由と勤続年数によって設定されており、一般に勤続年数が長くなれば給付率も上がる。本来もらえる額が100万あったとしても、勤続5年で退職しそのときの給付率が30%と定められていれば、30万円しかもらえない。

特に意味のないもの:諸手当

日本企業は、働く人の環境に応じた手当(住宅手当・扶養手当等)を支給するのが大好きですが、私はそういった手当は不要派です。結局カネの出所は同じでそれを一部の人に分配しているだけなので、シンプルに成果や役割に応じて公平に分配すべきだと考えています。

特に意味のないもの:従業員持株会

これから成長することが明らかな新興企業なら良いのかもしれませんが、成熟した企業の場合はそれほど株価が上がることも期待できない上、万が一その会社の給与以外に収入源を持たない場合、会社が倒産した場合は収入源も絶え株も紙くずになるので、リスクヘッジになりません。

キャピタルゲインで考えても、 たしかに普通に株を買うよりも有利な条件で買えたりするのですが、 インサイダー取引にならないように売れる時期が制限されていたり売約するまでにかなりの期間を要したりするので、思うようにならないことも多いです。

休日・休暇

休日・休暇の一例
年間122日(土曜/日曜/祝日)、夏期休暇、年末年始休暇、GW、年次有給休暇(年間20日、平均取得率50%)

休日数

休日数は就業規則で決まっているものなので、入社すれば甘んじて受け入れるしかありません。ちなみに土日祝がすべて休みで盆・正月休みが各4日だとすると、年間休日数は129日になります。129日と上記例の年間122日とでは1年につき7日の差が生じますが、40年働くとすると280日の差になるため、過小評価はできません。

年次有給休暇

年次有給休暇は労働基準法上、入社1年目は10日、それから毎年増え最終的に20日が付与されるようになります。入社初年度から20日付与されたり、付与日数がもっと多かったりする場合もあります。

ここでのポイントは「取得率」です。「平均残業時間」と同じく、数字をあまり鵜呑みにしないほうがいいです。全社の平均と配属先部門のそれとはかなり違う場合があるからです。

また、2019年度からは年5日の有給取得が義務付けられました。これにより、会社は休暇日を指定し強制的に与えることができるようになったため、有休をとったと意識しないまま数字上では消化されていっていることも少なくありません。

面接などの機会で、配属先部門での平均有給取得日数を確認しておいたほうがよいでしょう。(年5日は本人の意志によらず取得できるので、その日数は差し引いたほうが実態に近いです)

労働組合の有無について

労働組合はあったほうが良い

細かく言うとこれは会社が提供する福利厚生ではないのですが、せっかくなので取り上げさせてください。労働組合というと、今の勤め先にある場合は分かると思いますが、給与明細で毎月少しずつ「組合費」として引かれたりするアレです。

組合活動にあまり関わっていない人だと、春闘の時期に目にする程度だと思いますが、存在意義は小さくありません。

組合が無い会社の場合、賞与も人事制度もすべて会社の思いのままです。もっと身近なところでは、職場環境づくりや残業の抑制などもすべて会社次第。会社が不要と判断すれば何も行われません。それでも上手くいっている会社はいいのですが、そうでない場合、何かを会社に提言しようと思えば個人で闘うことになります。

組合がある会社はその逆です。労働者は会社と渡り合うための最強の力・団体行動権を手にすることができます。個人の意見ではなかなか動かなくても、組合が同じことを言えばすんなり動くのが会社です。

実際に多くの会社で、組合が労働環境の向上を目指して経営者と闘ってきました。その結果が、休日数の増加だったり給与・賞与に現れています。ですから、私は労働組合があったほうが働きやすい会社になりやすいと考えています。

まとめ

ここまでいろいろなポイントを紹介してきましたが、すべてを備えた会社はそこら中にあるものではありません。規模が小さくなればなるほど、至近を割り振れる部分は少なってくるので、制度としても限られたものになってきます。

だからこそ、最終的には自分自身の価値観に照らし合わせて、「絶対に譲れないポイント」とそうでないポイントを考えておいてほしいと思います。

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