U・Iターン転職で経済的安定を維持するためのポイント | 二兎を追うUターン転職

U・Iターン転職で経済的安定を維持するためのポイント

篠宮です。こんにちは。

地方への転職を考える上で一般によく言われるデメリットの1つ「収入が減る」ですが、それは事実なのか疑問に思ったことはありませんか?また、そうだとして、何とか避けることはできないのでしょうか?

実は、ひとえに「地方への転職」といっても様々なパターンがあります。それを理解することで、経済的な安定を維持することができるのです。

この記事では「地方への転職」を体系的に整理した上で、U・Iターンによる様々な恩恵を受けながら経済的安定も維持していく方法をご紹介します。記事を読み終えると、あなたの転職活動における会社探しをより効率的にすることができます。

結局U・Iターンで収入は減るの?

結論から言うと、多くの場合収入減となります。その理由について3パターンにわけて考えます。

  1. 首都圏に本社があり地方に支社がある会社
  2. 地方に本社があり支社がある会社
  3. 地方に本社があり支社がない会社

今回はこのパターンに基づいて以下で説明をしていきます。なお、首都圏に本社があって支社がない会社については、そもそもU・Iターン転職先の候補としては外れるので今回は対象にしていません。

①首都圏に本社があり地方に支社がある会社

国内の主要会社のほとんどがここに当てはまると思います。転職時に特に条件を絞らなければ圧倒的大多数を占めるのもこういった会社で、全国転勤を前提にしています。

U・Iターンを希望していてエージェントからこのパターンの会社を紹介された場合は、ターン先にある支社に勤務することになりますので、さすがに入社してみたら全く別の勤務地でしたというパターンは無いと思います。

このパターンの会社は総じて給与水準が高く、転職後に給与が下がるということはあまり気にする必要がありません。ただ、全国転勤を前提にしているので、その分の負担を給与に上積みして前払いしているだけという見方もできます。裏を返せば、Uターンを目指して転職したもののまた遠方に転勤となる可能性は残ります。

ただし例外も(地域限定職/役割等級制度)

役割等級制度が導入されている場合は、本社と支社では「仕事の役割が違う」という考えに基づき、賃金に違いが出てくる可能性があります。また最近注目を浴びはじめている、勤務地を限定する雇用形態(地域限定職)もまた、転勤リスクから開放される反面、賃金水準が抑えられるのが一般的です。

MEMO
役割等級制度
日本企業の賃金制度のメインストリームになりつつある制度。各人を、その人が果たす「役割」によって格付けし処遇するもの。「能力」を根拠とする「職能資格制度」と比較されることが多い。

②地方に本社があり支社がある会社

数はそれほど多くないですが、地方に本社があって支社もいくつかあるパターンです。首都圏に本社がある会社に比べると支社も全国ではなくある程度近くに集まっている場合が多いのではないでしょうか。

このパターンの会社は、一般的には会社規模で①のパターンより劣るためその分給与が下がります。ただし地方にあってもたとえば村田製作所(京都府)や大塚製薬(徳島県)など国内屈指の規模の会社は、単純に本社が東京にないだけで本質的に①と変わりありません。

③地方に本社があり支社がない会社

U・Iターンを希望して①の次に多く紹介されるのがこのパターンです。地域に根ざしたローカル企業で、大きな支社は持っていません。

会社の規模が小さいので、収入もほとんどの場合今より減ります。規模の大きな会社に勤務している人ほどこのギャップには驚くと思います。首都圏から大阪・名古屋以外のエリアでこのパターンの会社に転職する場合、年収ベースで20%減は覚悟しておいたほうがよいかと思います。例外は、係長から課長にランクアップして採用される場合ですが、それでも現状維持がせいぜいではないでしょうか。

U・Iターンの現実

あなたの転職目的が地方へのU・Iターンなら、①パターンは消えるでしょう。せっかく転職してもまた数年のうちに転勤になったとしたら、全く意味がありません。なので、必然的に②③のパターンを検討することになります。

これこそが、多くの人が地方への転職に興味をもちつつも行動をためらう一因になっているように思います。実際、国交省の調査でもそれを示す結果がでています。

地方移住希望者は収入額を重視する者が突出して多く(下表)、地方へ移住することにより現在の職を離れ、収入が低下することを懸念していることが推察される。この収入への懸念が、下表に現れているように、すぐにでも移住したい、5年以内に移住したいと考える者が少ないことの要因となっているとも考えられる。

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/html/n1211000.html
出典: https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/html/n1211000.html

収支全体で考えてみる

所得=収入-支出

それでは、収入減に伴う生活水準の低下は甘んじて受け入れるしかないのでしょうか。実は、そうとも限らないのです。ここからは「所得」全体で考えてみたいと思います。まずは、大前提としてこの計算式を頭に叩き込んでください。

所得=収入-支出

ここをご覧になっている方ならそんなことは百も承知だと思いますが、あえてここで強調したのは、家計レベルでこれを意識することが案外少ないからです。特に転職時はとかく「年収」が強調されるので、頭から抜け落ちてしまいがちです。

支出は減らせる

収入が減少してもそれ以上に支出が減少すれば所得は増えます。上記計算式のとおりですね。地方の実態はどうなのでしょうか。再び国交省の調査結果です。

出典: https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/html/n1211000.html

見てのとおりですね。小都市B・町村(緑)は大都市よりも毎月3万円ほど安くなっています。また内訳で見てみると下記のとおりとなっています。

大都市と比べた小規模市町村の消費支出は、食料、住居、被服及び履物をはじめトータルでは少ないものの、電気代や灯油代等をはじめとする光熱・水道や、交通・通信に含まれる自動車関連支出(自動車購入費、維持費、ガソリン代)は多いという傾向が見てとれる

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/html/n1211000.html

暮らし向きはどう変わるか

ただ、実は支出額は期待しているほど減りません。下表を見てみると、移住前後の支出額に対するギャップは、どちらかというと悪い方向に感じている(思っているより減らない)ことがわかります。

しかし着眼点を変えると、「全体としての暮らし向き」については移住前後でギャップを感じていないこともわかります。収入が減っていてもトータルで見ると生活ぶりは変わらないんですね。

出典: https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/html/n1211000.html

結論

努力次第で生活は維持できる

ここまで読んで結局それかよと言われそうですが、ここで伝えたいのは、「地方へ転職すると収入が減るから生活が苦しくなる」とは必ずしも言い切れないということです。

収入が減ったとしてもその分少し工夫して支出を下げれば収支はトントンになりますし、U・Iターンによってもたらされる様々な恩恵まで含めて考えれば生活の質は高まるとも言えます。

これから転職活動を考えている方は、単に「年収」に囚われず様々な観点から会社を選んでみてはいかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA