二兎を追うUターン転職

私が仕事をしながらUターン先から内定を勝ち取った方法

前回の記事では、地方への転勤と転職を比較し、転職を決意したところまでを紹介しました。今回は、転職サイトへ登録し内定をもらったところまでを書いていきたいと思います。

転職活動の心構えと下準備

他言して良いことは一つもない

転職を考え始めてから次の会社で内定を承諾するまで、活動のことは妻以外には一切言いませんでした。これは正解だったと思います。

上司との良好な関係を築いていると言いたくなるのが人の性ですが、それをしても良いことは一つもありません。職を探し始めてから実際に次の会社に入社するまでは、トントン拍子で進んでも3ヶ月はかかります。その間、上司からの慰留を受けながらギクシャクした関係の中で今までどおり仕事し続けるのは、苦痛でしかありません。

同期・友人に言わないのは、職場に情報が漏れ上述の状態になるリスクを極力下げるためです。

転職エージェントに登録

転職活動で最初にやったのが、転職エージェントへの登録です。いろいろな会社が同種のサービスをやっていますが、私が登録したのは
・リクルートエージェント
・DODA
・リクナビ提携エージェント(A社)
この3つで、これについてはあまり深い理由はありませんでした。なるべく多くの求人に触れるために大手2社と、Uターン支援を売り出していた1社にとりあえず登録しました。

エージェント面談への予約

大手2社については、Webから登録するとすぐに面談日程調整のメールが飛んできました。それに対して面談希望日と場所を回答することで面談日が確定します。A社はリクナビのメッセージから日程調整しました。

ただ、結果的に面談をしたのはリクルートエージェントとA社のみ。理想型は複数エージェント併用だと思いますが(理由については別途書きます)、私の場合はただただタイミングがあいませんでした。

転職エージェントとの面談の流れ

面談の流れ

受付を通されると、面談ブースに案内されました。ここでしばらく待っていると、いよいよエージェントのご登場です。
とは言っても、特に身構えるようなものではありません。この相手が、いろいろ会社を紹介してくれるのでついつい良いカッコしてしまいそうですが、肩肘張らずに自然体で話したほうがいいと思います。

面談の前に職務経歴書(エージェントごとに作成が必要)を提出してるので、さらっと目を通してくれてはいたようですが、あらためて根掘り葉掘り聞かれます。基本的には正直に答えればいいと思いますが、向こうも暇ではないので、最低限転職理由と仕事選びの軸くらいは明瞭簡潔に答えられるようにしておくべきではないでしょうか。私は、その2点については丸暗記していました。(嘘をついているわけではありませんし、短時間で的確に要望を理解してもらうために必要な作業だと思います)

面談が終わってからは、初回のヒアリングの内容をもとに、Webのマイページでいろいろな会社を紹介してくれます。私は、面談時に伝えた内容をきちんと理解してもらえたのか、初回から要望に対する精度の高い求人を紹介してもらえました。

MEMO
「仕事選びの軸」とは、何に重きを置いて転職活動をするかということです。たとえば、「実家から○分以内」「給与は最低でも現職と同等」「営業職」など。なるべく具体的に、かつ優先順位もつけていると紹介の精度が上がります。

求人へエントリーするときの注意点

「目標エントリー数」の罠

ところで、転職エージェントは成功報酬型のサービスです。求職者ではなくエージェントを通じて採用をした企業から報酬をもらいます。なのでエージェントとしては打率(合格の可能性)はお構いなしに、とにかくあの手この手で打席(エントリー)に立たせたがります。ここが要注意ポイントです。現在無職で求職中の人は体力が続く限り受けたらいいと思いますが、在職中だとそうはいきません。U・Iターンだと尚更やめたほうがいいです。理由は以下のとおり。

面接地獄

私は幸運にもUターン先のエリアから複数の求人をもらい、エージェントに言われるがまま、条件に合致する会社にエントリーしまくりました(職務経歴書をもとに書類選考が行われます)。書類選考の合格率は平均で30%だと言われたと思うのですが、私は60%を優に超えていました。しかし浮かれていたのはそこまでで、面接フェーズに入って大きな過ちに気づきました。

時間問題

私が書類合格した会社はすべて、Uターン先のエリアでしか面接を設定してもらえませんでした。仮に今の勤務地が東京で、希望するエリアも東京であれば、仕事終わり(たとえば19:00)に面接を組んでもらえることはごく普通にあります。ところが、希望するエリアが大阪となると、18:00に品川から新幹線に飛び乗っても、新大阪に着くのは20:30です。そこからさらに移動して、面接会場のドアを叩けるのは最短でも21:00になるでしょう。残念ながら、その時間まで面接をしてくれる会社はまずありません。まずこの時点で、強制的に未来への可能性が狭められます。

曜日問題

日程も、こちらの思いようにはいきません。融通を効かせてくれた会社もゼロではありませんが、基本的には会社側の出してきた候補日程の中から選ぶほかありません。そしてそれは多くの場合、平日のみです。仮に、気の良い中途採用担当が土日に面接をしてくれたとしても、 最終面接だけは絶対に平日です。役員がわざわざ土日に出てきてくれるはずがありません。というわけで、さらに可能性は狭まっていきます。

日程調整問題

上記の時間×曜日が掛け合わさると、面接を受けられる日程はどんどん減っていきます。 普段から営業で外回りをしているような人であれば善悪の議論は置いておいて、仕事の合間に面接を受けることも可能なんでしょうが、そうでない人は(職場で疑われないように)有給休暇を使うしかありません。

本当に限られたチャンスの中で、面接を受けたい会社を1日のうちになるべくたくさん、ねじ込んでいくのです。調整が上手くいかなければ、面接のたびに有給休暇を取り新幹線で移動するか、こちらから辞退するかだけです。 ちなみに当たり前ですが面接は1回ではありません。少なくとも各社3回はあります。私はこれで相当涙を呑みました。

どうやって内定まで行き着いたか

思い切って「間引く」

いろいろな会社の選考を受ける中で、あまり志望度の高くない会社でもステップが進んでいくことがありましたが、私は早期に「間引く」ようにしていました。前述のとおりU・Iターン転職では、1社増えれば時間的・金銭的負担がその分増える上、他社と面接がバッティングする可能性が高まります。「間引き」を行うことで、本当に行きたい会社へリソースを割り振ることができます。

なので、「その会社から内定をもらったら今の会社を辞める覚悟はあるのか?」を自分に問いかけて首を縦に振れない会社は、早々に辞退する勇気も必要だと思います。 私は一次面接終了時点で4社が通過していましたが、二次面接に進んだのは1社だけでした。残る3社は様々な理由から辞退しています。そのあたりはまた別の機会に詳述したいと思います。

面接は粛々と

面接は、1次:中途採用担当 2次:人事責任者+配属先責任者 3次:役員(社長・部長など)が王道だと思います。ただ新卒時の面接とは違い、どの会社も相当フランクで雑談のような感じでいろいろ聞かれました。新卒時はスキルを裏付ける経歴も成果も無いので面接官もそこを慎重に見極める必要がありますが、中途の場合、職務経歴書でその部分を既にクリアしている人が面接に呼ばれているので、どちらかというと人物面のマッチングが重視されている印象を受けました。

面接についてはハウツー紹介のページがあちこちにありますが、私はそれよりも正直に答えることのほうが大事だと信じていました。背伸びしたことを言っても入社してからミスマッチが生じるだけですし、リアルな自分を評価してくれる会社に入ったほうがお互い幸せになれると思います。私はUターンしたいことも転勤したくないことも包み隠さず言っていましたがそれを理由に落とされたことはありません(こちらから辞退したことはあります)。

内定承諾

初めてエージェントと会ってからちょうど1ヶ月後には、第一志望の1社の最終面接にたどり着いていました。 面接が終わり、翌日には合格通知と、処遇の連絡がエージェントから来ました。給与についてはシミュレーション上の理論年収ではありますが前職を上回る内容を提示してもらい、それ以外に求めていた条件も満額回答を得ることができました。

問題はここからで、実は内定後から入社意思決定までの猶予は2週間ほどしかありません(実際は1週間でも相当急かされます)。したがって、もし他社を併願しているなら、その間に選考を終えなければ、そもそも比較すること自体不可能になります。もし最初に内定をもらった会社に満足していなければ、それでも承諾するか、もらえるかどうかわからない他の会社の選考に賭けて辞退するかを決断しなければなりません。

私の場合は、最初に内定をもらった会社の条件に満足していた上、その時点で同時進行している会社が他になかったので、ほとんど二つ返事でした。

まとめ

U・Iターンなら、エージェントはフル活用すべき

U・Iターンを目指すならエージェントは使い倒したほうが良い、というのが私の転職活動の答えです。なぜなら前述のとおり面接フェーズに入るととにかく日程調整が大変だからです。その負担を肩代わりしてくれるという点に私はエージェントの価値を見出しました。

面接の日程調整は通常、アンケートフォームのようなものにWeb上で回答する形で行われますが、私の場合、1日程の中になるべく多くの会社の面接を入れ込むために、かなり密に担当エージェントとメール・電話でやりとりしていました。

たとえば、志望度が高い会社の面接日程が決まっていたら、それを軸にそれ以外の会社の面接を同日に受けられないか相談したりしていました。私はそのやり方で1日に3社訪問することもありました(会社間の移動時間等々は自分で調べて、○時で面接してもらえないか?といった形で打診していました)。ただ、移動時間を含めるとどれだけ効率的にやっても1日に4社訪問が限界かと思います。

軸は絶対にぶらさない

さらっと書きましたが、これこそがU・Iターン転職では一番大事なことだと思います。私がUターンを目指したきっかけはこれまでの投稿を参照いただくとして、転職活動の軸に置いていたのは「Uターン先に本社がある」「転勤がない」「やりたい仕事がある」この3点だけでした。

エージェントが紹介してくれる会社の中には、「転勤は無いとは言い切れないけど、ネームバリューもあるし給与その他の待遇はすごくいいよ」というところもありました。ここで自分の軸をしっかり持っておかないと、容易にそちらへ気持ちが傾きます。これだけ条件良いし転勤の可能性はあるけど必ずそうなるわけでもないしまあいいか、となるわけです。

そうやって決めた転職は失敗すると思います。それまでの安定を壊してまで実現したかったことに、結局辿り着いていないからです。また数年後には同じように転職活動を始めてしまうのが目に見えています。

私が自分の転職と今の生活に満足できているのは、徹頭徹尾「軸」をぶらさなかったことが一番大きな要因であるように感じています。

よろしければ下記から続きもどぞ

内定をもらってから辞めるまで
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